インボイスの経過措置は2026年10月1日から70%
インボイス(適格請求書)を出せない免税事業者などからの仕入れは、本来は仕入税額控除ができません。ただし、制度が始まってから一定の期間は、仕入税額にあたる額の一定の割合を控除できる経過措置があります(国税庁 インボイスQ&A 問113、令和8年4月改訂)。
| 仕入れた日 | 控除できる割合 |
|---|---|
| 2023年10月1日〜2026年9月30日 | 80% |
| 2026年10月1日〜2028年9月30日 | 70% |
| 2028年10月1日〜2030年9月30日 | 50% |
| 2030年10月1日〜2031年9月30日 | 30% |
割合は、課税期間ではなく仕入れた日で決まります。同じ課税期間の中でも、2026年9月30日までの仕入れは80%、10月1日からの仕入れは70%です。この表は令和8年度の税制改正で変わったもので、改正前は2026年10月1日〜2029年9月30日が50%の予定でした(財務省「令和8年度 税制改正の解説」 pp.848–849)。
計算のしかた
国税庁は、次の計算方法を示しています(インボイスQ&A 問130)。
- 仕入れのたびに計算する(積上げ計算): 支払った金額 × 7.8/110(軽減税率は 6.24/108)× 割合。1円未満は切り捨てか四捨五入
- 税抜経理の場合の別の方法: 支払った金額 × 10/110(軽減税率は 8/108)× 割合 で仮払消費税等を出して端数を処理し、その合計に 78/100 を掛けて(切り捨て)消費税額にする
- まとめて計算する(割戻し計算): 課税期間中の対象の仕入れの合計 × 7.8/110(6.24/108)× 割合
例: 2026年10月4日に、免税事業者の外注先へ税込11,000円を払った場合
| 金額 | |
|---|---|
| 消費税等の相当額(11,000円 × 10/110) | 1,000円 |
| 仮払消費税等にできる額(× 70%) | 700円 |
| 経費に入れる額(税抜経理) | 10,300円 |
| 消費税額(国税・11,000円 × 7.8/110 × 70%) | 546円 |
同じ取引が9月30日なら、仮払消費税等は800円、経費は10,200円でした。
仕訳の例(税抜経理)
上の例(2026年10月4日に税込11,000円)を税抜経理で仕訳すると、次のようになります。摘要には「70%控除対象」など、経過措置の対象である旨を書きます。
| 勘定科目 | 金額 | |
|---|---|---|
| 借方 | 外注費 | 10,300円 |
| 借方 | 仮払消費税等 | 700円 |
| 貸方 | 普通預金 | 11,000円 |
税込経理なら、11,000円をそのまま外注費にし、控除できる消費税額は申告の時に計算します。
帳簿と請求書に要るもの
経過措置を使うには、帳簿と請求書等を保存します(問113)。
- 帳簿: 通常の記載事項に加えて、「70%控除対象」「免」など、経過措置の対象である旨を書きます。対象の取引に「※」などの印を付け、「※は70%控除対象」と別に書く方法も認められています
- 請求書等: 区分記載請求書等と同じ事項(作成者の名前・取引の年月日・取引の内容・税率ごとの税込合計・受け取る事業者の名前)が書かれたもの。「軽減税率の対象である旨」と「税率ごとの税込合計」が書かれていない時に限り、受け取った側が書き足して保存できます
1つの相手からの上限
一の免税事業者等からの経過措置の対象となる仕入れが、その年(事業年度)の合計で次の額を超えると、超えた部分には経過措置を使えません(問113)。
| 課税期間の開始日 | 上限(税込) |
|---|---|
| 2024年10月1日〜2026年9月30日の間に開始 | 10億円 |
| 2026年10月1日以後に開始 | 1億円 |
上限は課税期間の開始日で決まります。たとえば2026年4月に始まった事業年度は、10月以後の仕入れでも上限は10億円のままです。
税込1万円未満なら少額特例
基準期間の課税売上高が1億円以下(または特定期間の課税売上高が5千万円以下)の事業者は、税込1万円未満の仕入れなら、インボイスがなくても帳簿の保存だけで仕入税額控除ができます。相手が免税事業者でも同じです。2029年9月30日までの仕入れが対象で、1万円未満かどうかは1回の取引の合計で判定します(国税庁「少額特例の概要」)。このツールは、1万円未満の金額を入れると知らせます。
免税事業者の側で値引きを求められた時
仕入れる側は、免税事業者からの仕入れの消費税を一部しか控除できないため(2026年10月1日からは70%)、残りの分の値引きを求められることがあります。税込11,000円の取引なら、控除できない分は300円です(上のツールの「控除できない消費税等」)。
取適法の対象の取引では、免税事業者であることを理由に、発注時に決めた代金を後から減らすことは問題になるとされています(公正取引委員会ほか「免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A」Q7)。値引きの分を差し引いて入金された時は、入金額が合わない理由のチェック で差額と合うかを確かめられます。
このツールを使わない人
簡易課税・2割特例・3割特例で申告している場合は、仕入税額を売上の税額から計算するため、仕入れごとの経過措置の計算は使いません。
確かめていること
- 割合の切り替わる日(2026年9月30日・10月1日など)、10%と8%、切り捨てと四捨五入、1万円の境目を、テストで毎回確かめています
- 国税庁のインボイスQ&A(問113・問130、令和8年4月改訂)と「少額特例の概要」を、2026年10月4日に原文で確認しました
- 2027年4月1日〜2029年3月31日の飲食料品の消費税率1%は、2026年10月4日時点ではまだ法律になっていません(国税庁の「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げに関するQ&A」は、今後法案が国会で可決・成立した場合の内容として公表されています)。このツールは、まだ1%に対応していません